幽谷のプロフィール
野崎幽谷は、９歳で地元の書家 藤田東谷先生に師事、１４歳で雅号”幽谷”をいただく。
愛知県立旭ヶ丘高校時代に山本南陽先生に出会い、書もまた崇高な精神性に寄って培われることを学び、生涯心の師として仰いだ。書を一生の仕事として生きることを決意した幽谷は書塾（幽玄書道会の前身）を開き、母校をはじめ、県立高校の書道講師を務めるかたわら、昭和30年書道研究「凡愚会」を結成。名古屋丸善画廊にて、中部書壇初の近代詩文書を発表。翌31年名古屋文天堂画廊において第1回「誰でも読める書展」を開催。書を一部のエリートの趣味としてではなく「心の叫びを表出するための書」として位置づける。
その運動の中で、昭和39年、金子鴎亭氏に巡りあい、近代詩文書運動に参加すべく創玄書道会、毎日書道会で活躍することになる。そのエネルギーは、日本にとどまらず世界へと向かい、ドイツ、フランス、スペイン、ベルギー、ロシア（旧ソ連）それに中国はもとよりシンガポール、オーストラリア等々で書展を開催した。その功績により毎日書道顕彰を受けている。また、日本の書道会の縦割構造に疑問を抱き、既成の枠にとらわれず誰もが参加できる公募展を計画。1996年（平成8年）「スペース21書展」を結成し全国に有志を募った。
情熱をぶつけ、新しい組織を立ち上げたところで病に見舞われ第1回展を迎えた直後、63歳で忽然とこの世を去った。後に続く者を信じての組織作りだった。
幽谷が未来に託した「スペース21書展」は第10回展まで続いたが「ブラッシュアート展」に名称が替わり、精神は受け継がれていると思うが、幽谷の遺業は消えてしまった。
作品
黒富士
富士山
不盡玲瓏
かぜのようにくものように
東西南北
一華開五葉
圓
略年譜
1933年 （昭和8年）
春日井市にて出生
1966年 （昭和41年）
日展入選（以後1985年まで連続20回入選、1972年中日賞、1986年以後不出品）
1967年 （昭和42年）
幽玄書道会設立
1971年 （昭和46年）
月刊書道研究誌「新しい書」創刊主宰
1973年 （昭和48年）
第25回毎日展毎日大賞
1979年 （昭和54年）
東大寺昭和大納経に携わる
1981年 （昭和56年）
春日井市文化功労者表彰
春日井市道風記念館運営協議会会長
1987年 （昭和62年）
（社）中部日本書道会功労者表彰
野崎幽谷近作書展「富嶽讃歌」開催
（財）毎日書道会評議員
1988年 （昭和63年）
第40回毎日展永年功労者表彰
1990年 （平成2年）
ソ連モスクワ日本文化週間実行委員として書道部門担当
1991年 （平成3年）
ベルリン日本文化祭参画、野崎幽谷FANTSYOF書展開催
1992年 （平成4年）
第5回毎日書道顕彰
1993年 （平成5年）
第45回毎日展功労者表彰
1994年 （平成6年）
ワシントン「ジャパンフェスティバル」実行委員として屏風大作による「野崎幽谷の書」開催
鯱光会顕彰
1995年 （平成7年）
ベトナム日本文化祭参画、野崎幽谷の書展をホーチミン市にて開催
高野山書道場設立30周年記念式典にて功労者表彰
1996年 （平成8年）
スペイン「ジャパンフェスティバル」書の部担当、講演
シカゴ「ジャパンフェスティバル」野崎幽谷屏風展開催
第1回スペース21書展開催
11月3日没 享年63歳
没後20年 野崎幽谷展
2016年９月、野崎幽谷の没後20年の節目に作品を一手に展観できる「没後20年 野崎幽谷展」が開催されました。
会場の様子はこちらで御覧ください。